これは油の種類、揚げ種、揚げる量、頻度、保存状況などによって大きく変わるので、一概に「○回」といえません。家庭では、油の粘り具合、油切れ、風味で判断する事になりますが、下痢や腹痛を起こすぐらい酸化した油は、においや味ではっきり識別できるので、食べ物として口に入れる前に避けることができると思います。

菜種(キャノーラ)油、オリーブ油、ゴマ油、米油、しそ油、体に脂肪がつきにくい油(トクホ)など、いろいろな種類の油がありますが、実はどの食用油もカロリーは同じで1g=約9kcalです。低カロリーやカロリー0の油は天然では存在しておらず、海外に合成の代替油がありますが、日本では市販されていません。

油に限らず、美しく健康的な生活のためには「量と質(バランス)」が大事です。「油を食べると太る」と、極端に敬遠する人もいますが、油は必須脂肪酸の供給源、脂溶性抗酸化成分の供給源、脂溶性ビタミン類の吸収促進など大事な役割があり、少なすぎても健康を害します。

油には「見える油」と「見えない油」があり、健康のために気をつけなければならないのは「見えない油」の方です。「見える油」とは、調理用に使う食用油やバターのことで、「見えない油」は、肉や魚、穀類や豆、加工食品などに含まれる油のこと。そして私たち日本人が摂取している油のうち3/4が「見えない油」といわれています。

つまり、キッチンで使っている油だけ気をつけていてもダメ。一般的には、「偏った食事を避け、1日30品目をバランスよく食べる」を実践していれば、油の量と質も自然とバランスの良いものになるといわれています。あまり神経質にならないように。

油の話の中で、最も誤解されているのが「サラダ油」かもしれません。ハチミツが低温で白く固まった経験はありませんか? 油も低温になると、白いにごりや固まりが生じることがあります。「サラダ油」というのは、マリネなどの生食や冷蔵庫で保存するドレッシングでも使いやすいように、低温で固まりやすい成分を取り除き、JAS(日本農林規格)の「0℃で5.5時間清澄であること」という規格をクリアした油のこと。逆に言うとこの規格をクリアしないと、「サラダ油」と表示することはできません。スーパーに並んでいる油の表示をちょっと見てみてください。「サラダ油のJASマーク」がついた商品を意外と多く見つけられるはず。決して、いろいろな油が混ざった安価な油ではないのです。

ボーソー油脂 営業本部食品部
高橋美奈子さん

1994年成蹊大学大学院工学研究科工業化学専攻修士過程修了。94年ボーソー油脂入社、技術部勤務を経て、2003年1月より営業部勤務。2010年3月日本油化学会「第1回女性科学者奨励賞」受賞