認知症の症状には、誰にでもあらわれる「中核症状」と、不安やストレス、体の不調などから起きる「周辺症状」があります。中核症状は「記憶障害」や自分のおかれている状況が認識できなくなる「見当識障害」をはじめ、判断力、理解力、思考力などが低下していきます。一方、周辺症状はBPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)と呼ばれる認知症の行動・心理症状で、中核症状がもたらす不自由さから起こるものだといわれています。

ひと言で「認知症」といっても多種多様。脳の変化によって起こる認知症や、脳の血管の老化や異常によって起こるものなど、原因もさまざまですが、そのうち5%は「治る認知症」といわれているので、やはり早期発見がカギ。家族の変化に敏感になることが大切です。

■三大認知症

病 名

原 因

特 徴

アルツハイマー型
認知症

脳神経細胞が死滅・変性することで脳全体が萎縮して機能が損なわれる。

潜伏期間が10〜20年と長いため、周囲が気づいたときにはかなり進行していることも。女性に多い。

レビー小体型
認知症

脳細胞に特殊なタンパク質などからなるレビー小体という物質が沈着して発症。

幻想や妄想、抑うつといった精神症状が目立つ。

脳血管性認知症

脳梗塞や脳卒中など、脳の血管障害によって起こる。

手足のまひや視力障害などの神経障害を伴うことも。男性に多い。

名古屋フォレストクリニック
院長 河野和彦さん

老年精神科・神経内科・漢方内科
名古屋フォレストクリニック

052(624)4010
http://www.forest-cl.jp/
ドクターコウノの認知症ブログ
http://dr-kono.blogzine.jp/

認知症はきちんと治療をすれば進行を遅らせたり、症状を改善させたりすることが可能です。独自の認知症薬物療法マニュアル「コウノメソッド」を提唱している、名古屋フォレストクリニックの河野和彦先生に話を聞きました。

家族が平和で穏やかに
過ごせるための処方が大切です!

認知症の種類や症状は多岐にわたるうえに、うつ病などとの見極めも難しく、薬の処方を間違えると副作用のために患者も家族も苦しむことになります。そして、家族の気持ちを重視した治療法(薬物療法)がコウノメソッドです。

「認知症は家族の負担が大きい病気です。最近では認認介護(介護する人もされる人も認知症)も増え、家族も患者になりかかっているのが現状。家族の望みは知能検査の結果をあげることよりも、患者をおだやかにすること。家族みんなが笑顔で過ごせるための処方が一番だと思います」と河野先生は話します。

コウノメソッドの最大の特徴は、薬の副作用を出さないために、医師の指示のもとで介護者が薬を加減する「家族天秤法」を展開していること。

「認知症の医学はまだまだ未成熟な部分も多く、医者の認識不足で間違った診断を下しているケースも少なくはありません。24時間、患者と接している家族こそが主治医。ずっと一緒にいる家族が“何かおかしい”と感じたら、ほぼ認知症だといって間違いないでしょう。また、医師の診断に家族が疑問を持つことも大事。介護者も知識を身につけてほしいですね」

年間2000人もの新患を診ているという河野先生。現場で培った経験で、的確な判断を下していきます。

「最近では、レビー小体型認知症の患者が3割を占めるようになりました。医者であるなら、CTやMRIに頼るのではなく、問診で8割見極められなければ意味がない。医者も覚悟が必要だということを訴えていきたいですね!」

「認知症かも?」と思ったら

まずは、地元の地域包括支援センター、保健所・保健センター、市町村の高齢福祉課などへ相談を。専門医療機関を受診する際には、「病院の規模ではなく症例数が多い医者を選びましょう。かかりつけ医を受診する場合は、最初の診断を信じないこと。“単なる年のせい”だといわれることもあるので、まずは知能検査を行うかどうかで見極めて」と河野先生。

認知症相談窓口

各自治体(高齢福祉課、福祉事務所など)、地域包括支援センター(こちらのリストを参照)、社会福祉協議会、保健所など
愛知県認知症電話相談(認知症の人と家族の会 愛知県支部)
0562(31)1911 平日(月〜金)10:00〜16:00
http://www.alzheimer.or.jp/
介護支え合い電話相談(社会福祉法人・浴風会)
0120(070)608 平日(月〜金)10:00〜15:00
なごや認知症安心安全プロジェクト
(もの忘れ相談医リスト)
http://www.nagoya.aichi.med.or.jp/
レビー小体型認知症家族を支える会 愛知支部
(グループホームはるた)
052(304)3308
http://www.dlbf.jp/